<元次官宅連続襲撃>謝罪の意思みせず 傍聴席むなしく(毎日新聞)

 「どうしてこのような思考の人間が生みだされたのか」。08年11月、元厚生事務次官宅連続襲撃事件で社会を震撼(しんかん)させた小泉毅被告(48)。謝罪の意思をみせず、法廷で「殺したのは人ではなく、心の中が邪悪なマモノ」と事件を正当化する持論をまくし立ててきたが、30日にさいたま地裁で言い渡された死刑判決には無言で聴き入った。傍聴席の遺族らは、その後ろ姿をやりきれない表情で見つめた。

 午後1時半開廷。小泉被告は黒のダウンジャケットとジャージー姿で証言台に立ち、伝田喜久裁判長に「判決理由から言いますので椅子に座ってください」と告げられると無表情のまま着席した。あごをやや上げ、正面の裁判長を見据えた。

 「愛犬をどれだけかわいがっていたにせよ、(あだ討ちで)正当化できるはずもない」「法廷で正当性を主張し続け、被害者を冒涜(ぼうとく)してきた」。断罪の言葉が続き、午後2時6分、裁判長が「死刑に処する」と言い渡しても微動だにしなかった。退廷前に一瞬、小泉被告は傍聴席に目をやり、口元を緩めたが一言も発しなかった。

 傍聴席には、殺害された山口剛彦さん(当時66歳)と妻美知子さん(同61歳)の長男琢磨さんの姿があった。

 「両親が戻ってくるわけではなく、達成感のようなものはあまりありません」「被告を憎むというよりは、どうしてこのような思考の人間が生みだされたのか、という思いを強くしながら傍聴しておりましたが、最後まで納得することはできませんでした」。閉廷後に公表したコメントからはむなしさが漂う。

 妻の吉原靖子さん(73)が重傷を負った健二さん(78)は「被告人のような人間がこれからも生存を許されれば社会の安寧と秩序は保たれないであろうと思う」と癒えるはずもない感情を吐露した。

 一方、小泉被告の弁護人は「被告は豊かな人間性や温かい心も持っている人と考えている。それを法廷で出し切れなかった。控訴審でしっかり精神鑑定をしてほしい」と話した。【飼手勇介、町田結子】

 ▽さいたま地検の長崎誠次席検事の話 検察の主張が全面的に認められ、妥当な判決が得られたと思う。

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